市民ミュージアムは、2019年東日本台風により施設、設備や収蔵品が被災し、休館を余儀なくされています。この状況を受け、2021年11月に「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方」を策定し、市民からの意見を募集し、2023年5月に、「新たなミュージアムに関する基本構想」を策定しました。そして、パブコメを実施し、その結果が6月2日に公表されました。
意見の総数は、458件、そのうち、「開設候補地」については、285件(62%)と意見が集中しています。
「基本構想」で開設候補地とされたのは、市有地である「生田緑地ばら苑隣接区域」1カ所でしたが、この提案に対し270件は、「反対」意見になっています。反対の意見を一部紹介します。
- 開設候補地は駅から遠く高い丘の上で あり、一般車両がアクセスできないなど 立地条件が悪いので、反対する。(同趣旨 他 41 件)
- 開設候補地に新たなミュージアムを建 設することは、景観や動植物の生育上、 問題であるため、反対する。(同趣旨他 33 件)
- 開設候補地の敷地規模では市民ミュー ジアム現施設のような大型施設の建設は 難しいのではないか。(同趣旨他 31 件)
- 生田緑地の貴重な植物に影響がでるよ うな工事は受け入れることができない。
- 自然を破壊するようなことはやめてほ しい。(同趣旨他1件)
- これまでの長年の苦労が無になるよう な大きな建造物が、市民に相談もなく、 市によって建設されることには納得する ことができず、反対である。
- 岡本美術館、日本民家園などがある多 摩区の一角に市民ミュージアムまで寄せ るのはバランスが悪い。
- 市民ミュージアムの再建は、武蔵小杉 駅付近(武蔵小杉から川崎方面)への移 転を希望する。
- 市民ミュージアムの現在地にしっかり 浸水対策を施して建て直すことや、学校 や企業の移転等に伴う空地を検討しては どうか。
- 開設候補地は1か所のみで選択の余地 を与えていないうえ、提案者の都合の良 いことのみを記載し、中身に具体的なこ とが示されていないように思う。候補地 は、緑化地域として保全すべきと考える。 生田緑地が人口の建物に浸食されていく ことには断固反対する。
川崎市も「基本構想」の中で、「自然環境や周辺景観への配慮等 を考える必要がある。また、アクセス面での課題や、 新たなミュージアムに通じる接道やインフラの整備、 周辺交通への影響も考慮していく必要がある。」と、問題点を明記しているのですから、反対意見が多数を占めるのは当然です。
川崎市は、貴重な市民意見を受けとめて、もう一度、全市的な視野での見直しをすべきです。意見として出ていた「企業の移転等に伴う空地」として、西加瀬の三菱ふそう跡地(10ヘクタール)も有力な候補地になるのではないでしょうか。
「新たなミュージアムに関する基本構想(案)」に対するパブリックコメント手続の実施結果について は、ここから ↓
paburikkukomentotedtudukinozissikekkanituite.pdf