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誇りある市民ミュージアムの再建を!

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誇りある市民ミュージアムの再建を!

中原区等々力緑地にある川崎市市民ミュージアムは、2019年の多摩川水害で被災し、市民にとって大切な、多くの貴重な収蔵品を失いました。
収蔵庫が地下にあることの危険性は多くの専門家から指摘されていました。
2004年に策定されたハザードマップで3~5メートルの浸水深と想定されていながら、明確な浸水対策を取っていませんでした。
市は「浸水の可能性は認識していた。対策を立てるべきだった」と市議会文教委員会で報告しました。

「指定管理」という運営スタイルにも問題があります。市民ミュージアムは、美術館と博物館の複合文化施設として1988年に開館しました。
その後、2017年4月1日より、アクティオ株式会社と株式会社東急コミュニティーが、指定管理者となり、管理・運営を行なうこととなりました。

台風19号は河川の氾濫が相次いだ1958年の狩野川台風に匹敵する可能性があると気象庁は10月11日に厳重な警戒を呼びかけ、台風接近後は川崎市が避難指示まで出していました。
ところが、アクティオも川崎市も、貴重な収蔵品を浸水から守るために有効な行動を何もしていません。

大雨が降る前に、地下収蔵庫の収蔵品を2階以上に運び上げる作業、あるいは別の場所へ退避させる作業を何故行わなかったのでしょうか。
道路沿いに土嚢とベニア板をブルーシートで覆って、堤防をつくり、その上に土嚢を積み上げていくことを、なぜ行わなかったのでしょうか。
それ以前に、アクテイオは、これまでの市民ミュージアムの経験、東日本大震災等の経験に学び、いかに減災できるか水害対策を考えていたのでしょうか。

そこには、そもそも博物館を運営するプライドも責任感もなく、ただ経営効率優先で運営を民間に丸投げした市の責任が浮かび上がります。

市民ミュージアムの運営に関わってきた学芸員は、指定管理者に移ってそれまでの7割減の給与となりました。
16人居た学芸員は9人となりその後も次々とやめていきます。
やめた学芸員の中には、他都市の博物館で館長になったり、大学教授になるなどしています。
あまりにもひどい待遇に、待遇改善を求めた職員に対しては、契約期間1年で雇止めにしてしまいました。
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-35502.html

コスト優先、経営効率最優先で、博物館としてのプライドも矜持もない管理会社に市民の貴重な財産を任せるなどあってはならないことです。

2021年7月、川崎市文化芸術振興会議より市民ミュージアムの今後のあり方について答申が出されました。
https://www.city.kawasaki.jp/250/cmsfiles/contents/0000129/129639/toushinhontai.pdf

概要版
https://www.city.kawasaki.jp/250/cmsfiles/contents/0000134/134216/(gaiyouban)aratanahakubutukanbizyutukannikansurukihontekinakangaekata(pabukomego).pdf

アクティオによる管理は2022年3月末に終了し、現在は市の管理に戻っています。
https://www.kawasaki-museum.jp/rescue/rescue_archive/25900/

現在の施設は取り壊されて移転する方向ですが、まだ移転先は決まっていません。
新しい施設が、市民として誇れる文化施設となるよう、見守っていきましょう。

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