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10月4日の横浜地裁判決を不服として川崎市が控訴

10月4日の横浜地裁判決を不服として川崎市が控訴
10月10日のメルマガでご報告した、川崎市教育委員会が教育委員会と教科用図書選定審議会の音声データの開示を拒否し、その取消しを求めた裁判に完全勝訴したその後の動きについてご報告します。
10月4日、川崎市教育委員会は横浜地裁判決(岡田裁判長)の中で、開示拒否をしたことへの言い訳をことごとく退けられました。このことは、市教委から開示拒否を受けた私たちの審査請求に基づく「川崎市情報公開・個人情報保護審査会(市の設置する第三者的な意義を持つ、情報公開についての権利救済を保障する機関で、メンバーは法律の研究者や弁護士)の行った、①教育委員会議の録音すべてを「開示するべき」、②教科用図書選定審議会の録音は「一部を開示するべき」とする答申の正しさを判決として保障するものでもあります。
しかし教育委員会は、横浜地裁判決を不服として10月17日に東京高等裁判所に控訴する手続きを行いました。今後は控訴手続から50日(12月6日)以内に「控訴理由書」を裁判所に提出することになります。
この理由書の中で教育委員会がどのような主張を展開するかは不明ですが、岡田判決は私たち原告の主張を完全に認めている画期的な判決ですが、その内容は決して新規なものではありません。
岡田判決の特徴は、今まで20年以上の期間にわたり国や全国の自治体が重ねてきた、情報公開に対する様々な裁判の判決の水準をしっかり踏まえた、いわば情報公開の常識的な理解に基づいている点にあります。
また市教委は開示拒否する理由について、音声データを開示すると「委員が市民から文句を言われるのではないかと心配になって自由に発言できなくなるおそれがある」とか、そのために「事務または事業の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがある」などと、抽象的な「おそれ」を繰り返し、その他も様々な屁理屈を並べましたが、その「おそれ」が実際に生じた具体例は一切示すことができませんでした。岡田判決はこの点についても「音声データを不開示にした理由をきちんと述べて、不開示にしないといけない事実があることを立証するのは被告(市教委)が行わなければいけないのに、その責任を果たしていない」と市教委の無責任な態度をピシャッと正し、屁理屈については「被告の主張は採用できない」などと断じました。
市教委が高裁に送る「控訴理由書」を見ないことには具体的な反論は行えませんが、岡田判決の水準を東京高裁でも維持し続け、情報公開の理念と制度に背を向け続ける川崎市教育委員会の姿勢を、まっとうなものに戻すための闘いに必ずや勝利しなければなりません。
横浜地裁に提訴した際にお寄せいただいたご支援に感謝申し上げるとともに、勝手ながら財政面などはほぼ限界に来ていますので、今後とも変わらぬ応援・ご援助のほどよろしくお願いいたします。
情報公開制度を活かす川崎市民の会(畑山 裕)

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