

リニア中央新幹線の川崎市内での「大深度地下」のトンネル掘進は、現在まさに本格的な掘削段階に入っています。今回は、JR東海の「神奈川東工事事務所」公式サイトの進捗マップを手掛かりに、工事の状況をレポートします。(リニア裁判で明らかになったJR東海の大深度工事の対応の問題などは、別報告とします。)
<川崎市内では主に2つの工区で巨大なシールドマシンが動いている>
ルート1 東百合丘工区(麻生区)
東百合丘非常口から名古屋方面へ向けて掘り進めています。
2025年半ば時点で約700mを超えており、現在は1km前後の地点(麻生区上麻生4丁目付近)を通過中とみられます。
麻生区のこの地区は、比較的安定した「上総層群」という古い地層が主ですが、事前のボーリング調査が少ないことと、トンネルの上には住宅街が広がっているため、慎重な作業が必須です。
ルート2 梶ヶ谷工区(宮前区)
梶ヶ谷非常口から品川方面へ向けて掘進中です。こちらは先行して進んでおり、すでに1.5km以上掘り進んでいる状況です。
現在、宮前区の有馬付近を抜け、中原区の新城・宮内エリアの地下を通過中、あるいは等々力緑地に向けて掘り進んでいる段階です。シールドマシンが最終的に到達するのは、等々力非常口(等々力緑地内)です。
新城や宮内、等々力のエリアは多摩川に近く、地盤が比較的軟らかい堆積層が含まれるため、施工には細心の注意が必須です。
北品川での隆起事案を受け、このエリアでは特に「気泡」や「圧力」の管理が強化されています。
シールドマシンは通常、1日に数メートル〜十数メートルのペースで進みます。新城・宮内付近を通過した後は、多摩川をくぐって東京都世田谷区(等々力・尾山台方面)へと抜けていく計画です。
<北品川工区で隆起が起きたが、川崎市内では大丈夫か>
2月現在の状況を整理すると、「川崎市内では現時点で北品川のような大規模な隆起は報告されていないが、東京の事例を受けて監視と対策が大幅に強化されている」
2025年10月に北品川工区で見つかった約13cmの隆起について、JR東海は調査の結果、「シールドマシン内部の圧力(空気)が地表に漏れ出したこと」が原因であると結論づけました。
- 原因: 掘削をスムーズにするために送り込んだ高圧の空気が、地中の隙間を通って約80m上の地表面を押し上げてしまった。
- 川崎での対応: この結果を受け、現在川崎市内の掘削(梶ヶ谷工区・東百合丘工区)では、マシンの「チャンバー」と呼ばれる部分から空気を抜く頻度を増やし、圧力を溜め込みすぎない新しい施工管理基準が適用されています。
現時点では、川崎市内で北品川のような深刻なトラブルは発生していません。 しかし、東京での事故が「大深度地下なら地上に影響は出ない」という従来の説明を覆す形となったため、JR東海は川崎市民に対しても改めて「丁寧な説明」を行うべきです。また、川崎市もJR東海に対し、地域住民への情報説明を要請すべきです。