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6/7 参議院内閣委員会、泉房穂明石市長の参考人

参議院 2022年06月07日 内閣委員会 #03 泉房穂(参考人 明石市長)

泉房穂明石市長
「長らく日本は少子化の加速や、経済の停滞と言われておりますが、その原因のひとつは、やはり、私たちの社会が子どもに冷たすぎるのではないかと思えてなりません。
子どもを本気で応援すれば、人口減少の問題に歯止めもかけられますし、経済もよくなっていくと私はそのように考えております。実際、明石市では、決断をして実行したので、よくなってきています。
実際、明石市がどんな取り組みをして、いまどんな状況にあるのか。そして、今後どうしていくのか。そのあたりをお伝えして、議論の参考にしていただければ嬉しく思っています。よろしくお願い申し上げます。
3ページ、ご覧いただくとありがたいのですが、明石市は子どもについて、あれもこれも政策を展開し、人口増、そうして、地域経済は活性化しております。本当にうれしい限りであります。
それでは、どんな施策をしているのか。6ページであります。
明石市としては、いわゆる経済的な施策としての負担軽減のための無料化もしております。ですが、それだけではありません。
必要なのはお金だけではなく、『寄り添う』そういった施策も必要であり、この両方をしているのが明石市の特徴の認識です。
まずは無料化のほうからです。
明石市独自の『5つの無料化』と銘打っておりますが、すべて所得制限はありません。
「すべての子どもを等しく」対応するのが特徴で、例えば医療費については18歳まで完全無料です。市外の病院も無料、薬代も無料です。お金はいりません。
なぜなら、先に税金や保険料で、国民の皆さんから預かっているという認識でありますので、明石市はお金をとりません。
保育料は二人目以降、完全無料です。3人目も4人目も、子どもの年齢も関係ありません。そんなセコい要件は出しません。
おむつについては1歳まで無料で、家にもお届けします。
給食費は中学校まで無料。遊び場も、親子ともみんな無料にしています。加えて次のページであります。
加えて『寄り添う』施策。
明石市では養育費を立て替えて払っています。
親子の面会交流で、別居している親子も まさに時間をつくっています。
戸籍のない子どもについて支援をしております。
児童扶養手当は、毎月支給しております。
そして、子ども食堂は、すべての小学校区にあります。
児童相談所の改革で、第三者の審査も、国に先立って実施しております。
これら、すべて全国初です。
自慢できることではありません。
世界でのグローバルスタンダードは、日本だけやっていない政策ばかりなんです。
日本がしないからやむなく、明石市がグローバルスタンダードの施策をしているだけでありまして、私としては子どもに申し訳ない気持ちで、遅まきながらやっているという認識でございます。
これらの施策、ぜひ国もやっていただきたいと思います。
加えて、コロナ禍においてでありますが 15ページ以降となります。
明石市では、コロナの状況の中で、大学をやめかねない学生に代わって、100万円上限で 本人と親に代わって、大学にお金を振り込みました。親は金がありません、子どももない。だったら行政が100万円までは持つ、と。そして就職したら、ぼちぼち返してもらう、と いうこともやりました。
高校の進学も、たいへんなので給付型の奨学金も作り、1億円以上の予算を計上しております。
ひとり親家庭には国に先立ち、5万円の上乗せもしましたし、10万円  につきましても、所得制限は当然 撤廃しております。
生理用品につきましては、今年度からはすべての一律の小・中・高、養護学校のトイレに生理用品を常備しております。
こんなことは、他の国ではやっていることなんです。
これぐらいもことは『こども家庭庁』とおっしゃるんなら、ぜひ、次年度以降に具体化していただきたいと切に願う立場であります。
加えて21ページ。
明石市では少人数学級でも、先だってやっております。小中一貫校では全学年30人学級を実現しております。
金はかかりますけど、こどもには金をかけるべきなんです。
学童保育につきましても、教員免許のあるものが半分以上おりますし、研修についても、全国の中核市ではじめて、自ら研修を行っております。
人がいなければ育てる。ということだと考えております。
こういったことをいっぱいやった結果がどうだったか、が23ページであります。
こういった子どもにやさしい施策をすることによって、なにが生まれたか。「安心」です。26ページ、ご覧ください。
明石市民で住みやすい、という方が9割を超え、91・2%が「住みやすい」と答えていただいております。
生活満足度の民間調査では関西1位。全国戻りたい町ランキングではついに、全国トップに躍り出ております。
つまり、こういった町こそが住みたい町であり、実際どうなるか。次のページです。
人口です。明石市も私が市長に就任した11年前にはすでに人口減少、始まっていました。それが下げ止まって、
今、9年連続人口増。
過去最高人口を更新し続けており、ついに中核市、全国60を超える中核市の中で 全国1位の人口増加率となっております。
出生率も上がり、2018年度は1・70まで上がってきております。
しっかり子どもに力を入れたら、出生率は上がるのは明らかであります。そのように思えてなりません。
次27ページであります。このようにして人口が増えると、人気の高い町になるとどうなるか。人がやってきます。
住む人も増えるのみならず、来る人も明石は7割も増えております。その結果、明石は新店ラッシュで、明石周辺はどんどん新しい飲食店が増えてきております。
地域経済が活性化して、コロナ禍なのに、昨年度は過去最高利益をたたき出しております。
地価も上がり、例えば明石駅前では5年前の新築マンションが、いま中古で2倍の値段で売買されています。こういった状況に明石ははいりました。
そしてそうやって、お金が動き始めると何が起こるか?
税収が増えます。次のページです。明石市は税収が8年前に比べて32億円増えております。
貯金につきましても、私が市長に就任した時、どんどん減って、70億円でしたが、今、121億円。明石はあらゆることにお金を使っていますが、それでも50億円積み足しているんです。
財政も健全化し、兵庫県内でもっとも実質公債費比率がトップレベル。
繰り返しお伝えしますが、お金がないからセコいことをするんじゃなくて、お金がない時ほど、子どもにお金を使うんです。
そうすると、地域経済が回り始めて、お金が回り始めることをぜひ、お伝え申し上げたいです。」
「今のお話はいわゆる横の連携でございます。つぎ、縦の問題に入ります。国、都道府県、市町村、そのテーマであります。
ぜひ、国に申し上げたいと思いますが、残念ながら法律上国と地方は対等、となっておりますが、実際はそうはなっておりません。
本当に私も悔しい思いをしています。私は子どもの医療費の無償化をどんどん拡充図って、18歳まで無料化しました。なにが行われたか、国による嫌がらせです。1800万円も、国のお金を減らされています。どういうことですか。
国は地方を応援するんじゃないんですか?子育てを頑張る地方に対して仕打ちをするようなことはやめていただきたい。
本当に痛切にお願いいたします。
加えて、地方財源については、地方の特性に応じて、自由にお金をつかわせていただきたい。
幼保の無償化、もちろん賛成ではありますが、その財源は国の責任でやるべきであって、地方消費税の増税分を勝手に子どもの貯金箱から金を持っていくのをやめてもらいたい!
お年玉のつかいみちは、子どものためだからと言って、親が勝手に決めるものではありません。子どもの使いたいようにつかえるようにする。地方の判断に任せる。このことはぜひお願いしたいと思います。
なにがポイントか。
子どもがど真ん中ということ。
誰が一番、子どもに近いんですか、ということがテーマです。
子どもに近いのは、市町村です。一人ひとりの子どもの顔に向き合えるのは、地域であり市町村なんです。
子どもを大切にするんであれば、地域や地方を大切にしていただきたい。
国が上、ではありません。国がいちばん上で、その下に都道府県、そのまた下に市町村、だったらその下に子どもですか? 違うと思うんです。
ど真ん中に子ども。そのそばに市町村、地域。そして都道府県が応援し、国がある意味 財源の責任を持つ。ということをぜひお願いしたいと考えております。
続きまして、43ページです。お金の問題です。
明石市では、私が市長に就任する前に比べて、子どもの予算を倍増しました。言葉通り、「倍増」です。
126億円だった予算を、今は258億円。まさに倍増です。だから、明石市では、子育て支援ができるんです。
気持ちだけでできません。金が要るんです。
どうしてつくったか。うちは貨幣は発行できません。国債も発行できないし、保険制度をつくれません。 やりくりやったんです。このことは明石だけではありません。
明石周辺では続々と、明石同様の規格にいま、転換していってるんです。
地方だって、金に余裕があるわけではない。それでも歯を食いしばってやってるんです。ぜひ、国のほうになお一層の子育て支援をお願いしたいと切に願う立場です。
次のページ、人の問題です。
お金もいるし、人もいりますが、明石では人の育成に力を入れておりますが、実際子どもを担当する職員数、39人から135人。3倍以上に増やしています。
ちゃんと子どもに寄り添える人がいなかったら、ものはできません。
でも、数だけではありません。大事なのは、質です。人については重要なのは数ではなく「質」。そのために明石市では、専門性のある職員。例えば弁護士を10人以上配置しているところであります。
児童相談所も、国の基準を上回る二倍以上の職員配置で、明石市では児相をスタートしました。なぜか。国のルールを守っていたら、子どもが死ぬからです。
どうしてこんなに子どもが死に続けるのか。
国のルールが間違っているからです。
国のルール通りの人数でできるわけないんですよ、今の状況。そもそもの基準がおかしい。
なので、明石市では、国の基準を守らずに、というか、二倍以上の職員配置で児相、頑張っている。それでもとってもたいへんなんです。本当にここは抜本的な児童相談所の充実化をお願いしたい。
そして、人については、いなければ、育てるしかないんです!
明石では全国二か所目の研修センターを自らつくり、全国にオンライン配信で研修をしております。こういったこと、人を育てることを本当に早く始めてほしいと願う立場でございます。
次に、地域の協力です。
このことをするには、地域の協力がいります。
明石では街中で取り組んでおります。その結果、すべての地域で子ども食堂が立ち上がり、里親についても、5年前に比べて、もう2倍以上に里親の方、増えています。やればできる、というのを実感している立場であります。
最後に提案であります。56ページ。
まずは、発想の転換。そして「子ども家庭庁」との連携。
予算は、次年度から倍増。そして、すみやかに3倍増。
「将来」っていつでしょうか?来年から倍増をぜひ、お願いしたいと思います。もう、待ったなしの状態です。
そして、人の問題についてはいろいろ議論がありますが、わたしとしましては国家資格も含めたさらなる検討をお願いしたいと思います。
そして、こども食堂を含めてでありますが、地域に任せないでください。任せられたって、続きません。
そういったボランティア活動にも、ちゃんと公的な助成。私の方からしっかりお願い申し上げたいと思います。
最後の最後となってまいりました。55ページ以下、改めてお願い申し上げたいこと。
すべてのこどもたちへの支援をお願いしたい。特に所得制限の問題です。所得制限をしたら予算は減ります。少ないお金でできます。でも効果は薄いです。
所得制限をかけない方がむしろ、出生率も上がり、経済もよくなるんです。お金はかかりますけど、より効果は大きいんです。
今の判断大事なのは、セコいお金じゃなくて、思い切ったお金で本気の子育て支援策だ、と思えてなりません。
加えて、子どもは子どもであって、親のものではありません。親の荷物ではないんです。もし、所得制限かけ続けるんだったら、これからは親じゃなくて、子どもを基準にしていただきたい。
有名な子役以外はみんな所得制限以下ですから。子どもは稼げないんですから。ぜひその辺お願いしたいと思います。
そして、子どもの意見を聴くことも、改めてお願い申し上げます。
最後のページになります。59ページ。
今日、お伝えしたいことを改めて、お伝え申し上げます。
子どもを応援すれば、みんな幸せなんです。
子どもや子どもの親だけじゃないんです。お年を召した方や幅広いみんなにとって。そして私たちの社会にとって、いいことなんだという発想の転換をぜひ、お願いしたい。
そして、5つのポイントで最も重要なのは、子ども家庭庁というのは国の組織。それに先立つ発想の転換。
それに加えて、何度も言いますけど、金もいります、人もいるんです。気持ちだけで人は動きません。金もつけてください。人は、育ててください。
そして、地方や地域を大切にしていただきたい。
そういうことをお願い申し上げ、私の陳述といたします。
子どもの未来は、私たちの未来であり、
子どもの未来は、日本社会の未来だと 本気で考えております。
ありがとうございました。」

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