今年も、また酷暑の夏がやってきます。人口過密都市での異常な高温現象(ヒートアイランド)は、川崎市街地にもあてはまります。温室効果ガスCO2を大量に排出しているのが川崎市です。川崎市民として、気候危機への行動は緊急の課題です。
5月24日に開かれた川崎母親大会の「緑と環境」分科会では、「等々力緑地を守る会」の報告を中心に、「私たちにできることは何か?」が話しあわれ、等々力緑地再整備で進められている環境破壊に驚くとともに、この動きにストップをかける新たな可能性が話題になりました。
日本の大都市の多くは、ヒートアイランドの緩和策とは逆方向に進んでいます。都市公園法やPFI法を改悪し、公園や緑地の運営を自治体直営から営利企業へ移す流れです。そのわかりやすい事例が等々力緑地のPFIによる再整備なのです。「稼ぐ公園」の導入です。
事業者にもうけさせるには公園内に商業施設を建てて、市民にお金を落としてもらうことが必要です。そのために、緑地の緑をまもる規制の緩和を一気に進めようとしています。
建ぺい率を現在の2%から12%へ、さらに条例で上乗せする。これで、公園内に収益施設の建設が可能になります。施設建設が優先で、そこにある樹木が大量に伐採されます。
また、管理許可期間を10年から、20年、さらに30年まで可能にします。こうして、議会の権限は大幅に後退し、地域住民の意見等が反映される保障がなくなります。結果として、公園が持つ防災機能も低下します。今でも、緑地内のアスファルトやコンクリート地面は、猛烈な暑さになります。等々力緑地再整備はこの状況をさらに悪化させます。
<樹木のもつ大きな可能性>
ヒートアイランド現象への有効な対応策の一つが『緑のインフラ』を増やすことです。樹木の樹冠(樹木の上部の枝と葉が茂っている部分)は、日射を抑制することできます。
都会のアスファルト道路の路面温度が50℃でも、日中長く高木の樹冠の下では、20℃下がるという報告もあります。また、3月に行われた川崎の緑化フェアのパンフには、「木かげは、暑い日も、6℃くらい涼しく感じます。」と記載されていました。
今後800本以上の樹木を伐採する等々力緑地再整備を止めるには、樹木の大事な役割を行政にも、環境を重視すべき企業にも認めさせることが必要です。
世界の環境先進都市では、樹冠被覆率(土地の面積に対し、樹冠の占める割合)の拡大を政策とし、人にも生物にも優しいまちづくりを進めているのです。
まちづくりの主人公は市民です。気候変動に立ち向かう「まちづくり」を進めるために、「樹冠被覆率の拡大」の大切さを多くの市民の共通認識にすることが必要です。
川崎民主市政をつくる会は、6月14日に、武蔵小杉の総合自治会館で、温暖化に負けない『緑のインフラ』を学ぶ講演会を開きます。緑と環境を守るために私たちにできることは何かを考えるつどいです。ぜひ、ご参加ください。