2024年3月の市営住宅募集に対して1,456世帯からの申し込みがありましたが、募集戸数はたった89戸。16.4倍もの倍率になりました。市営住宅の圧倒的な不足状況は、この1年間で改善されたのでしょうか。
〈令和6年度の市営住宅の応募状況はどうなった?〉
第1回(6月)募集戸数207戸に対し、応募者数1853人で、9.0倍
第2回(9月)募集戸数159戸に対し、応募者数1712で、10.8倍
第3回(12月)募集戸数268戸に対し、応募者数1853人で、6・9倍
地域的な特徴としては、川崎区の平均倍率が全市の約3倍から5倍と高くなっています。
募集の種類(一般世帯向け、単身者向けなど)や、立地条件(交通利便性など)で倍率に大きな差が出ています。
全体的には、市営住宅を希望する市民が多いのにもかかわらず、住宅の供給が圧倒的に不足している状況が、この1年間、少しも改善されていないことが明らかになりました。
〈川崎市の住宅政策はどうなっているのか〉
物価高騰は、家賃の高騰も引き起こしています。今までの安価な住宅には住めなくなり、早急に転居しなくてはならないが、民間アパートは高額で入居が難しいという事例が多くなっています。
2月市議会で、市営住宅の不足の問題を、後藤真左美議員(共産党)が取り上げました。その質疑で川崎市の市営住宅についての方針が明らかになりました。概要は以下のような内容です。
住宅セーフティネットの中核として、社会環境の変化に合わせたストックの最適化を推進するとともに、より公平・的確な入居機会の提供等に取り組み、持続可能な運営を図っている。
当面は、管理戸数を維持しながら、市営住宅の適切な管理運営を行う。
新たに住宅建設を行う予定はない。
民間賃貸住宅を活用した重層的なセーフティネットの構築に向けた取組を推
住宅に困窮する低所得者の居住安定確保に努めている。
〈「住まいは人権
を基本に、川崎市の住宅政策のチェンジを!〉
毎回の市営住宅の募集で、1000人以上の希望者を切り捨てておきながら、「住宅に困窮する低所得者の居住安定確保に努めている。」との川崎市の回答は、明らかな「フェイク」です。
住宅生活基本法第6条では、「住宅は国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であり、憲法の人権条項から住宅確保施策を行わなければならない」としています。川崎市の住宅政策の誤りは明らかです。
川崎市の「管理戸数を維持する。新たに住宅建設を行う予定はない」という方針を見直し、新規整備計画を策定し、抜本的に増やすことが必要です。また、「民間賃貸住宅の活用」というなら、市が財政措置をして、借り上げ住宅などの支援を行うべきです。